研究事例紹介

日常的なWeb閲覧の記録を、カードにまとめて集めよう


Webで見た情報、すぐに忘れる。英単語みたいに、楽に覚えられたらいいのに。

この研究では、日常的なWeb閲覧結果を毎日寝る前にカードにまとめ、 それを日ごろから整理することでWebで見聞きした情報を記憶にとどめて知識化する方法について提案しています。

研究背景

インターネットを利用する中で、私たちは日々大量の情報に触れています。 しかし、必要な情報を効率よく思い出すことは難しく、多くの情報が忘れられてしまいます。

昔から人類は、英単語用の暗記カードだったり、文化人類学で使われるKJ法や京大式カードだったり、英語圏でよく使われるインデックスカードだったり、ありとあらゆるものをカード化して整理し、記憶してきました。 この研究では、Web閲覧履歴もカード化して整理したら、よく覚えられるのではないかと思い、実際にシステムを作って実験してみました。

提案内容

本研究では、Google Chromeの拡張機能を活用し、閲覧履歴を基にデジタルカードを半手動で作成・管理するシステムを開発しました。

毎日使うシステムとして、半自動で、アルゴリズムが勝手にその日の重要そうなキーワードをカード上に配置してくれます。 利用者は、手動で、要らないキーワードを取り除いたり、必要なキーワードをその場で入力したりできます。 色を変えたり、文字の向きや大きさ、デザインも編集できるようにしました。

作成したカードは、タグをつけたり、並び替えたり、整理できるようにしました。 毎日カードを作って、集めると、案外楽しいです。

実験と分かったこと

実際に日常生活の中で使ってもらって評価実験をすることは難しいので(プライバシー的にも、実際の検索履歴は使えない)、「旅行のプランを立てる」などの疑似タスクで検索を行ってもらう実験を行いました。 検索終了後にカード整理をした場合としない場合で、数日後に調べものの内容が記憶に残っているかを確認しました。

短期的なWeb検索実験では、このシステムを使うことで、記憶保持率が高まることが確認されました。 特に、カードを手動で編集するプロセスが記憶保持に効果的であることが示唆されました。

図 人類、何でもカードにして覚えてきたのに、なんでWeb閲覧履歴はカードにしないんだろう・・・?

文献情報