研究事例紹介
分かりづらい製品スペック情報を、体験的なエピソードに変換しよう!
この研究では、商品比較サイトによく登場するスペック表記を、その商品を使った人が言いそうな「体験的な記述」に書き換える方法を提案しています。
- 例:「ISO感度40万」のようにセンサの感度に関する記述だったら・・・
- 「夜でも顔がくっきり撮れる」や「夜行性動物の観察のお供に最適」
- 例:「焦点距離 50-300」のようにズーム倍率に関する記述だったら・・・
- 「サッカー選手の顔が映せます」や「学芸会で子供を撮っています」
メルカリなどのネットでの個人売買が当たり前になってきた現代で、製品選びの際にスペックしか書いていない場合が多く見られます。 しかし、スペック情報は初心者にとって難解で、適切な製品を選ぶことが難しくなっています。 商品説明に書かれたスペック情報を、誰にでも分かるような、個人の体験に変換して表示することで、この状況を解決します。
この課題を解決するため、本研究では、スペックシートを与えると、スペックシート内の各要素について、要素ごとに体験に基づいた言葉でわかりやすく表現する方法を開発しました。
この研究では、生成型言語モデル「GPT-2」を製品説明とユーザレビューのデータでファインチューニングしています。 こうすることで、スペックシートを与えると、その製品に対して書かれそうなレビューを生成するAIを作ることができます。 このAIに、あるスペックを持つ製品に対するレビューをたくさん生成させます。 そして、「あえて一部を隠したスペックシートで、再度レビューを生成する」ということをやらせます。 そうすると、「スペックシートの『ISO感度』に関する部分を隠したら、生成されたレビューに全然、『夜』に関連する言葉が登場しなくなる」というような関係性を発見することができます。 このような手順を通して、実際にスペックシートを体験的な記述に書き換えることを可能にしました。
楽天市場の製品データを用いた実験では、カメラやイヤホンなど4つのカテゴリで手法を検証しました。 その結果、生成された説明は「自然さ」「興味深さ」「製品理解の助けになるか」といった評価項目で高いスコアを獲得しました。 また、説明とその根拠を提示することで、単なる説明文の表示に比べ、ユーザにとっての有用性が大幅に向上することが示されました。
「アブレーション」という技法を使って、生成した文の根拠箇所を推定。
文献情報
- タイトル:
- Generating Experiential Descriptions and Estimating Evidence Using Generative Language Model and User Products Reviews
- 著者:
- Shen Chenfu, Yoshiyuki Shoji, Takehiro Yamamoto, Katsumi Tanaka, Martin J. Dürstt
- 書誌情報:
- Proc. of 2024 International Conference on Big Data and Smart Computing (BigComp 2024), pp. 254 – 261, 2024
- 掲載サイト