研究事例紹介

ほかの商品にはない「この商品ならでは」のレビューを見つけよう!


他にはなさそうな「この商品ならでは」のレビューを見つけよう!

この研究では、膨大な商品レビューの中から、「この商品に対してはよく書かれるけど、ほかの商品には全然書かれない」ような、その商品特有なレビュー文を抽出してくる手法を提案しています。 たとえばイヤフォンのレビューでは、どの商品のレビューを見ても「音が良い」と書かれているので、そんな記述を読んでも、商品どうしの比較には役に立ちません。

研究背景

オンラインショッピングサイトでは、同じ種類の商品が、大量に販売されています。 その中から自分に合った商品を選ぶためには、商品のスペックだけでなく、実際に購入した人のレビューを読むことが重要です。

しかし、人気商品には何百件、何千件ものレビューが投稿されています。複数の商品を比較するために、それらをすべて読むのは大変です。

そこで、ショッピングサイトでは、よく書かれている内容をまとめた「レビュー要約」が表示されるようになってきました。 ところが、よく書かれている内容が、必ずしも商品を比較するために役立つとは限りません。

たとえば、評価の高いイヤホンを比較すると、どの商品にも、

といったレビューが書かれています。 これらは商品の長所ではありますが、どの商品にも当てはまるので、商品を選ぶ決め手にはなりません。

一方で、「耳をふさがないので周囲の音が聞こえる」というレビューは、カナル型イヤホンと比較した場合には、オープン型イヤホンならではの特徴になります。 しかし、ほかのオープン型イヤホンと比較する場合には、もはや特別な特徴ではありません。

つまり、「その商品らしさ」は、レビュー文だけで決まるものではなく、何と比較するかによって変化します。

提案内容

そこで、この研究では、対象商品と複数の比較対象商品を入力すると、「対象商品には当てはまるが、比較対象商品には当てはまりにくいレビュー文」をランキングする検索アルゴリズムを開発しました。

このシステムでは、まず、あるレビュー文が、ある商品について書かれたものである確率を推定する分類AIを学習します。

たとえば、「Apple製品との接続が速く、安定しています。」というレビュー文を入力したときに、この文が特定のイヤホンについて書かれた可能性を、0から1までの確率で推定します。

この分類AIを使って、それぞれのレビュー文について、

をそれぞれ計算します。

そして、対象商品に当てはまる確率が高く、比較対象商品に当てはまる確率が低いレビュー文ほど、「その商品ならではのレビュー」であると判断します。

この考え方は、検索でよく使われる「TF-IDF」の考え方を、現代のAI世代の技術に応用したものです。

実験と分かったこと

提案手法の有効性を確かめるため、実際のレビューサイトから収集したデータを使って、被験者にレビュー文が「確かにその商品特有のことに言及しているか」について聞く評価実験を実施しました。 家電やカメラなどの分野の商品について、ある商品といくつかの比較商品を見てもらい、いくつかのレビュー文を評価してもらいました。

実験結果から、本研究で提案した手法は、既存手法や単にその商品単体を使った手法と比べて、確かに「その商品特有で、ほかの商品には当てはまらないレビュー文」を発見でき、商品比較に有効だということがわかりました。

図 それぞれのレビュー文について、対象商品に当てはまる確率と、比較対象商品に当てはまる確率をAIで推定。対象商品には当てはまり、比較対象商品には当てはまらないレビュー文を上位にランキング。

文献情報